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クバラン族 冠を被った人の像の木彫壁板

クバラン族 冠を被った人の像の木彫壁板

L 59cm × W 18cm , 19世紀後半


旧志の記載と現存する器物から見て、台湾北部の平埔族(台北地区のケタガラン族と宜蘭地区のクバラン族を含む)は、木彫の伝統を持つエスニックです。この人の姿を彫った木彫りの板は、宜蘭地区の平埔族の一群、クバラン族伝統の家屋の壁板だと推察できます。台湾北部に暮らす平埔族の伝統的な家屋は欄干四季の高架式のものが中心で、この彫刻された壁板は、家屋のどの部分で使われたものなのか、今のところはっきりとはわかりません。しかし、板に彫刻された直立した人の像は、風格や彫刻の技法を問わず、北部平埔族の彫刻の典型的な特色を具えています。例えば、線彫や浅い浮き彫りなどの平面的な手法による処理や、人の像の両手や足が両側に開いているイメージ、そして板面いっぱいに装飾を施す「充填」の効果などは、いずれも北部平埔族の彫刻でよく見られる特色です。このほかに、特に注目に値するのは、このような背の高い冠をかぶり、腰に履き物をまとった像も、北部平埔族の彫刻の最も重要な特色です。この人物の像が何かを代表、あるいは象徴するものなのか、祖先を示すのか、心霊を表すものなのかについては、関連資料が不足しているため現段階では断定できません。しかし、このような人の像は家屋の壁板、葬儀、女性の婚礼時の頭飾り、紡織機具などに描かれました。結婚や葬儀の場に出現したことから、これが生命の大切な節目で使われたことがうかがえます。また、家屋や紡織機具の装飾に出現するなど、日常生活においても使われていました。これらは、この人の像がクバラン文化において大切な象徴的な意義を具えており、少なくとも単純な装飾図案にとどまるものではないことを示しています。