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康熙台湾輿図

康熙台湾輿図

L 536cm × W 66cm , 1699-1704年 清朝時代

「康熙台湾輿図」は、中国に現存する最も古い単幅の彩色絵巻軸の台湾全図で、絹に彩色が施され、横の長さ536cm、縦の幅66cmです。もとは「台湾番社図」と呼ばれ、中国語の台湾古地図のなかで複製された回数が最も多く、広く世に出回っています。本図の内容と年代について、一説では初代巡台御史・黄叔璥が康熙61年(1722)に命じて描かせ、朝廷に奉納したものと伝えられていました。日本統治時代以降、多くの人が図のなかで描かれた内容と年代が黄叔璥の台湾に来た時期より早いものであることを指摘するようになりました。例えば、康熙43年(1704)年、清朝は諸羅県治を目加溜湾(今日の台南安定、善化一帯)から嘉義に移しています。しかし図上で描かれた諸羅県治の位置は、目加溜湾にあります。これは本図が康熙43年(1704)の嘉義移転前にすでに描かれていたことを示すもので、少なくとも黄氏が台湾に派遣されてきた康熙61年当時の作品ではないことになります。近年、多くの手掛かりや関係者の指摘を経た後、学術界はおおむね本図の原図が描かれた年代は清の康熙38~43(1699-1704)年間だろうと特定されています。



本図は、中国伝統の山水画の技法で描かれており、写実的な手法で17~18世紀の台湾西部の北から南にかけての山と川の地形、行政や兵営の布陣、道路や都市と田舎の生活などの景観が描かれています。ここには当時の台湾社会の文化と生活、そして清朝初期における台湾の地理知識の縮図が描き込まれており、地理図、兵備図、風俗図などの特性を具えています。全図の筆法は細やかで、色合いも美しく、台湾古地図の最高傑作に恥じぬものであり、誰もが公認する国立台湾博物館で最も重要な文物です。