土銀展示館の前身の日本勧業銀行台北支店は1923年1月12日に設立され、業務内容は主に開拓、土木、水利、農業資金の融資などがあり、不動産と拓殖金融をの業務を行う唯一の銀行でした。表町二丁目(今館前路開封街口)に所在しました。
融資業務と経営規模が広がるとともに、現所在地の表町一丁目で新しいビルを建て、1933年に竣工しました。戦後、国民政府は勧業銀行の台湾で持つ支店五ケ所を接収し、1946年9月1日に公営台湾土地銀行に改組し、現所在地を本店としました。土地改革において重要な役割を果たしていました。
1991年内政部より三級古跡に指定され、1997年に台北市市定古跡に変更されました。2005年に台湾博物館系統計画が発足以来、台湾博物館が土地銀行と連携し、古跡の修復及び経営管理に取り組んで、自然史と金融史を展示する博物館に定められました。
修復工事は2008年に始まり、2009年に竣工しました。修復設計と工事監理は楊仁江建築士事務所に委託し、営造工事は福清營造株式会社に委託しました。修復工事の内容については:
一、鉄骨鉄筋コンクリート造。山形鋼を用いたトラス構造で広く柱のないロビーを造り、鉄筋コンクリート造の柱梁構造で鋼構造の屋根を支え、室内の天井を三階まで高くしました。
二、砂利敷きの外壁はプレキャスト工法と吊り掛け工法で修復しました。鉄筋コンクリートで壁と柱を補強した後、前もって成形されたコンクリート平板を固定し、隙に砂利石で充填します。メリットは廉価で、時間の節約だけではなく、品質を一定に保つのです。
三、スチールの上げ下げ窓(hung sash window):窓枠には滑車、鋼線と重錘があり、一端は重錘と結び、もう一端は窓を繋げ、滑車の動作原理で動きます。本件はスチール製の上げ下げ窓で、亀甲形の網入りガラスを使用し、防盗と防火を兼ねています。
四、石膏の浮き彫り粘土平板の装飾を型で作ります(molding)。ロビーにあるコーニスの浮き彫り装飾と室内柱の頭の石膏浮き彫り粘土平板の装飾は乾式工法を採用し、鋳造した後は銅線で吊り掛けて組み合わせ、接着剤と鋼製フレームで固定します。本件は日本の左官職人を招聘し、修復技術指導を受け、材料審査を経て合成化学石膏と麻繊維を選びました。大量生産のためにシリコーンで軟膜を製作することに決まりました。
五、空調設備:冷房設備は荏原製作所(Ebara Corporation)が製造しました。空調機械室は銀行の一階と二階の北西に設置されます。ロビーの空調は一階の機械室が管理します。二階の系統は付属空間の空調を調節します。エアコンの配管は防音材で覆い、ロビーを通り抜けさせないように、吹き出し口を壁に設け、風の入り口を地面に設置します。1933年の『台湾建築会誌』によりその冷房設備はクロロメタン類を使用しています。